悪友は親友とは言わない。そんなの当たり前だと思う。
私にとっての悪友という存在はどこを探しても1人しかいない。
そう、隣でひたすらお菓子を貪り食ってるこいつだ。


丸井ブン太だ。

巷で噂のテニス部イケメンレギュラー。

実際のところ、ただのお菓子だいすきおばけだ。
10分間休憩のたびに私に寄ってきてはお菓子を貪り、私をちょっと
馬鹿にしてから自分の席に戻るお菓子だいすきおばけだ。




「おいこらお菓子だいすきおばけ。人の鞄をあさるなこら。」


「お菓子だいすきおばけじゃねえよ。俺は今食料庫を漁ってんの。邪魔するんじゃねえよぃ」


「誰の鞄が食料庫だコラ。またザリガニ入れられたいか。幸村の鞄に。」


「それだけは絶対にやめろ!俺の生命の危機!お前この前真田の鞄にサワガニ入れたお陰でどれだけ怒られたか知ってんのか」


「知らない。」

「全身複雑骨折。」

「えっ、嘘」

「うん、嘘」

「ブンちゃん覚えてろ」

「ザリガニは勘弁」

鞄を漁る手を止めてブン太が私を見上げる。
ただの悪友だ。馬鹿にされ、馬鹿にして爆笑し合う。


イタズラされ、イタズラして、一緒に悪事を働いたり。基本的な矛先は真田か赤也だけど。
悪友だ。ばーか、そう言ってやるとブン太がグーで私の脛を殴った。

痛い。嘘、ただ小突かれただけだからさほど痛くない。



ー。」

「何。」

「チョコほしい」

お菓子だいすきおばけは鞄からご希望のそれを出している。

「もう勝手にすれば良いでしょ。」




「サンキュ」


にっと笑っていったブン太がかっこよくて、ちょっとムカついた。
だから本当に幸村の鞄にザリガニを入れてやろうと思う。










2011.11.6