せっかくの休みでも、休むに休めへん。

昨日先輩にしたことを思い出すとどうも落ち着ける訳がなかった。
今日何度目になるかも分からんため息を繰り返した。


携帯のバイブが部屋に響く。一通のメール。
差出人は知らないアドレス。


少しだけ見えた本文に俺はすかさずメールを開く決定ボタンを押した。


『こんにちは。急にメールして、ごめんなさい。です。
 アドレスは教えてくれてたから、メール送るの遅くなってごめん。』


そういえば、と消えかけていた記憶を蘇らせてみる。
確かにアドレスを教えたような気がした。せやけど先輩が全く
メールしいひんからそのことも忘れとった。

どうしたらええんか全く分からへん。それに先輩も先輩や。
なんでこんなタイミングでメールすんねん。

迷う指先を抑えて、携帯をベッドに投げる。


返信したくない訳やない。

うー、っと唸って自分もベッドに倒れ込んだ。
それでも自然と手は携帯を掴んでいた。


メールを開く。
ボタンをゆっくりと押していく。




『昨日、先輩に言ったことは本気やから。』

送信ボタンを押して携帯を閉じた。
ぐしゃぐしゃと頭を掻いて机に向かう。


すぐに携帯が震えてメールを開いた。


『分かってる』


たった五文字しか書かれていない本文をどう受けとればええか。


『別にすぐに答えを出せとは言わん。』

『ごめん』

『謝らんでええし。いつかは俺がええって自然と言わせたる。』

『うん』


短い返信を見つめて、携帯を閉じた。
先輩は今、誰のことを考えてるんやろう。

俺やったらええな。なんて、俺らしくない。





2011.10.1