「・・・・・・・・・はあ?」 意味不明を超えてこいつは意味不明や。同じ言葉やけどな、違うねん。 もろに顔に出てしもたんか、目の前の妖精は不愉快そうな顔をした。 「はあ?じゃないでしょ!はあ?じゃ!」 「そんなん言うてもそれしか言うことないやんけ!」 「・・・・・・・ぐっ!」 「・・・・・(黙るんかい)」 とは言いながらも、羽根が生えてるところを見てしまうと認めざるを得ない 気もしてくるからしゃーない。こういうのはやっぱり、ちゃんと確かめるべきや。 目の前で頭を抱えてう〜ん、と唸っている自称 近付くと、本体であるこいつとは裏腹にパタパタ動いている羽根へ手を伸ばした。 そのとき、だった。 「もー!とにか『痛っだああ!!!』あたた・・・・」 ちょうど頭を上げようとしたにヘッドアッパーを喰らう形になった。 痛い・・・!痛い痛い痛い痛い痛い・・!なんやこの石頭・・・・! 悶え苦しむ俺を他所に、は頭を押さえて撃っちゃった☆と笑っている。 撃つて何や・・・!打つやろそこは・・・・!殺意あるやん・・・・! 「謙也くーん?大丈夫?ごめんね、私石頭だから・・」 「ほ、ほんまやな・・・・・」 「うん、死なないようにしてね☆」 「(俺はもう無理です。)」 「でね、とりあえず話を聞いてほしいな。」 「かしこまりました。」 ヘッドアッパーの威力に平伏すこととなった俺は妖精さんの前に正座する。 人生って素晴しいわ。ものの数十分前に会った妖精さんに正座や。 あかん、足痺れてきた。 「私のことは、でいいから、ね?」 「はい。」 「それに、敬語もいらないからね?」 「おん。」 一瞬で正座から胡坐をかいて座る。の顔が若干引きつって見えたけど 気のせいやと言い聞かせて話を進めろ、と目で伝える。 「私、謙也くんの願いを叶える為に生まれたの。えっとね、妖精ってね、人間界に人間が 一人生まれるごとに一人生まれるの。それで、同じときに生まれた人に仕えるんだ。」 「んで、それが俺にはやったと。」 「そゆこと!で、謙也くんに妖精だって信じてもらう為には謙也くんの願いを叶えれば良 いかと思うんだけど、何かある?」 「何でもええんか?」 「うん!」 「・・・・部屋を綺麗にしてほしい。」 「・・・・(いいのかな、これ)」 「・・・・何やねん、よ」 「い、いや!とにかくお部屋を綺麗にすればいいよね。」 「・・・・・お、おー。」 えいっとが手を叩くとまるで魔法みたいに部屋が綺麗になった・・・ のではなくて、 俺の目に映ったのはゴミ袋片手にせっせと片付けるの姿だった。 「えええええええ魔法やないんそこはさああああ!」 「何言っちゃってるの謙也くん!」 ビシッとが人差し指を立てて言う。 「願いはね、3つしか叶えられないのよ!そこで部屋を片付ける如きに使うなんて、 もったいなさ過ぎる!ほら、じゃあ謙也くんも片付けるよ!」 「そんなん初めに言ってくれや!」 「人間ってね、不精で怠け者になりやすいのよ!だから議会で人間が怠ける願いは 叶えないっていう決まりがあるの!何もかも、努力こそがすべて!」 荒れ果てた足の踏み場のない様な部屋がみるみる内に綺麗になっていく。 申し訳なさすぎて、俺も床に散らばった雑誌を整頓する。はその間も、 いる、いらない、いる、と物の分別を行ってはゴミ袋につっこんでいた。 たまに俺が、あかん、それいる!と言うといらない!捨てろ!と言って 容赦なくゴミ袋へと叩き込んだ。逆らえるわけがない。おかん以上に恐ろ しい存在である。 ☆ 「ほー綺麗になったねえ、」 「ほんまやなあ、すごいわ!」 「へーい、どうもどうも。」 きゃっきゃと俺に手を振るに不覚にもどきっとしてしまう。 おかしい、相手は妖精やぞ・・。そしてどきっとするポイントも変や。 「謙也ー!どたばたうっさいで!」 ノックせずにおかんがドアを開ける。しまった、が見られてしまう。 の方を見ると当の本人はぺちぺち手を払って広くなった床にくつろご うとしていた。 「な、ノックせーや!」 「綺麗に・・・なってる」 「た、たまには俺も片付け位するわ!」 「珍しいことも、あるんやな。怖いしさっさと行くわ。」 「失礼な!なにが怖いねん!俺が片付けたらあかんのか!」 おかんが風の様に逃げていった。隣から、が言う。 「安心して、私は限られたこどもにしか見えない存在だから」 「そ、そうなんか」 「心の清らかな、そんなこどもにしか見えないの。」 「俺は清らかってことか!」 「それはまた別のお話になるのよ。」 「否定されたと傷ついていいんかな。」 ふあーあ、と欠伸をかますの態度が明らかに最初と違った。 これは慣れている。俺に対して人見知ることを忘れたみたいや。 、どこで寝るんと聞いたらえ、ここだけど。といったときの顔は まるでもともと家におったかのような態度やった。 「じゃ、私そろそろ寝ないとお肌に悪いから☆」 そういって俺のベッドに転がってぐっすり寝始めたをしばきた くなる衝動をこらえるのに必死やった。 2011.8.11 |