喉が痛なった時からヤバいなあとは思ってたけど、ここまでひどくなるとは思うてへんた。 朝起きて声はがらがらでえらかった。病院に行ったらやっぱり先生は風邪やなあしか言わん かったし、よく分からへん薬を出してもらった。 辿り着いた我が家の扉を開けたら知らん靴が溢れていた。 リビングを見ると、決して狭くも広くもない家にオサムとその教え子がいた。 「おー!どこ行っとったんや!ちょっとこいつら連れてきてん」 お邪魔してます、と全員が頭を下げる。嫁が熱出したっていうのに気付きもしいひんから なんか腹立ってそこにあった新聞を丸めてオサムをどついた。 「痛っ」 「ドあほ。連れてくるなら前もって言うといて」 「あ、すいません」 そう言うて謝った子は白石くんやった。小石川くんも合わせて頭を下げる。 前にも来たことがあったから知ってる子たちばっかりやしええや。 すんません、周りの子らも頭を下げる。テーブルを中心に座ってんのに、お茶もない。 「あ、お茶でええかな?」 「わいは何でもええで!」 「こら金ちゃん!そんなん催促したらあかん!」 「あ、気にせんでええんよ!悪いのはすべてオサムやから!」 「ほな・・俺らもええよな」 「ええ!俺!?あ、、俺にも茶」 「オサムのは98度の湯や」「火傷するわ!」 ほい、と人数分お茶を出した。 「じゃあ上におるし、何かあったら呼んで」 「ありがとうございます」 階段を上がってベッドに転がった。冷えピタくんを貼ってゆっくり目を閉じた。 目を開けると時計の短針は2つ分先に進んでて、慌てて下へ降りた。 玄関からは靴がいくつか無くなってて、リビングに入ると土鍋を持った オサム(27)と遭遇した。 「何してるん」 「今から戦いに行くねん」 「何の」 「の風邪菌vs俺」 「武器は?」 「土鍋」 「勝てるかっ」にっ、とオサムが笑う。 「みんなは?」 「俺がを心配してるから帰ったわ」 金太郎が言い出したらしい。ゴンタクレやのに感心したわ、オサム(27)with土鍋が言う。 「ふうん」 「照れとんのか」 「…」 「まあ病人は寝とけ寝とけ」 いつも通りのあほみたいな笑顔で土鍋を向けてくる。 「これ卵粥やでの主食の」 「それを言うなら好物やろ!」 「一応な、俺が…」 「作ったん?」 「白石が作ったんを味見したわ」 「あー…もうオサムのせいで熱あがるわ」 「ほな俺がもろたろか」 今度もアホみたいに柔らかい笑顔で笑ったオサムにキスしてニヤリと笑う。 「看病してあげてもええよ」 2011.12.31 |